夏の終わりは病害虫の見張り時季
ぼくたちの飛騨・岐阜の畑でも、夏の疲れが出る8月下旬から9月は、病気も虫も活動が活発になる時季です。気温は下がり始めますが、まだ湿度が高く、夜間の結露も増える。こういう条件が、病原菌も害虫も大好きなんです。
早めに気づけるかどうかで、被害が2倍にも3倍にもなることもあります。今回は、ぼくが見てきた現場の工夫と、簡単にできる予察のコツをお話しします。
発生予察情報を毎週1回は確認する
岐阜県農業研究所や各地の農業改良普及センターが、毎週または2週間ごとに「病害虫発生予察情報」を出しています。ぼくのおすすめは、毎週金曜日の朝に、スマートフォンでさっと確認する習慣です。
「今月は〇〇の発生が増えている」「〇〇地域で多発」といった情報が載っていて、何を警戒すればいいかが一目瞭然。地元の普及センター(岐阜県なら各務原市・多治見市・美濃加茂市など地域ごと)のサイトをブックマークしておくと、チェックが楽です。
この情報に「今週は斑点米カメムシを警戒」と書いてあったら、その直後が勝負。ほかの農家よりも一歩早く対策が打てます。
朝日が当たる前の15分・圃場を歩く
ぼくが何度もお会いした実績のある農家さんたちは、みんな「毎朝、欠かさず圃場を見に行く」と言います。特に大事なのは、早朝です。
朝日が当たる前、気温がまだ低い時間帯に虫たちを観察すると、夜間に活動していた痕跡が新鮮に見えます。葉の裏をそっとめくってみたり、根元の土の中を探ってみたり。葉が萎れていないか、白い粉のようなものが付いていないか、不自然な食べ痕がないか。
このときのコツは、1圃場あたり15分程度でいいということです。毎日少しずつ見ると、変化に敏感になります。スマートフォンのメモに「8月25日・斑点が2枚確認」など簡潔に書き留めておくと、対応のタイミングを判断しやすくなります。
薬剤散布は「先手」で。症状が出てからは遅い
「もしかして病気かな」と思ったときには、すでに圃場の20~30%に広がっていることも珍しくありません。特に、うどんこ病や斑点病は、見つけたときには手遅れに近いこともあります。
発生予察情報で「注意報」が出ていたら、症状がまだ見えなくても薬剤散布を検討する価値があります。「今年は発生が多い」という年は、早めの一手が全然違う結果につながります。
薬剤を選ぶときは、ホームセンターの店員さんに「いま注意報が出ている〇〇に対応したものはありますか」と聞く、またはラベルの登録内容を必ず確認することをおすすめします。農薬は登録を受けた作物と病害虫しか対象になっていないので、「水稲のいもち病」と「野菜のうどんこ病」では別の薬が必要です。
雨の後は要注意・翌日が勝負
雨が降ると、病原菌は一気に活動を始めます。連続した雨の後、気温が上がると、疫病・べと病・暴風雨型の害虫が大量発生することがあります。
ぼくの経験では、大雨の翌日が最も危険な時間帯です。朝一番で圃場を見て、異変を感じたらその日のうちに対応する。農薬を散布する場合も、雨の後1~2日のうちに行うのが効果的です。
対応の記録を残す・来年の参考に
もう一つ、ぼくが現場で学んだことは、「何をしたか」を毎年同じ形で記録することの大切さです。
「8月28日・斑点米カメムシ注意報が出たため、〇〇農薬を散布」「9月5日・うどんこ病の初発を確認・予防散布」といった簡潔な記録が、翌年の判断を変えます。3年続けると、「ぼくたちの圃場では毎年この時期が危ない」という傾向が見えてきます。
完璧を目指す必要はありません。ぼくが出会った農家さんたちは、みんな「8割の出来でいい、ただ毎年同じ手順」と言っています。それが農業の強さになるんだと思います。
9月は秋の準備の季節でもありますが、同時に病害虫のピークでもあります。この週末、まずは一度、予察情報をチェックしてみてはいかがでしょうか。
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